世界中で禁止が相次ぐ電動キックボード
パリやマルタでは電動キックボードは禁止に
日本では最近、電動キックボードに乗っている人をしばしば見かけるようになりました。
しかし、電動キックボードをきっかけにした交通事故も起きていて、問題視されているのも特徴です。
世界に目を向けてみると、電動キックボードを公道で運転するのを法律で禁止している国も見られます。
たとえばパリでは、レンタル事業の全面禁止を決めました。
パリというと、電動キックボードのパイオニアと呼ばれており、世界の中でもいち早く導入して注目を集めたのですが、すぐに問題になったのです。
危険性が懸念されて、住民投票を実施したところ何と全体の9割が反対票を投じました。
その結果、レンタルの全面禁止に至ったわけです。
その他にも、地中海の島国であるマルタでも2024年春から全面禁止になる予定です。
シンガポールなどは厳罰化も進んでおり、2019年11月5日から電動キックボードはすべての歩道で利用禁止、2020年1月からはペナルティも課されるようになりました。
最大で2,000シンガポールドル、もしくは禁固3カ月に処せられます。
ちなみに2,000シンガポールドルは日本円でだいたい20万円ですから、軽微な法律違反ではないことが分かります。
なぜ禁止に?電動キックボードの問題点について解説
なぜ世界各国で電動キックボードの禁止が施行されるようになったのかというと、ひとえに電動キックボードの危険性が懸念されているからです。
電動キックボードに載っている人も、ルール違反の運転をしていると大事故に巻き込まれる可能性があります。
たとえばイギリスでは、電動キックボードがバスと衝突し、キックボードに乗っていた女性が足の靱帯を断裂するという事故が起こりました。
当時彼女の足の状態はぐにゃりと曲がってしまって、ゆでたスパゲティのようだったと伝えるメディアもあったのです。
電動キックボードは電動によって動くので、人力による自転車よりも速度が出やすいです。
しかも小さな車輪でコントロールする必要があるので、安定して走行し続けるのは実は難易度が高いのです。
そのため、自転車と比較して衝突や接触したときの危険性は非常に高くなります。
また、ほかの車両と比較してコンパクトなので自動車両を運転している感覚が乏しく、知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまう事例も見られます。
例えば海外では、電動キックボードは飲酒運転してしまいやすいという点も大きな問題になっているといいます。
電動キックボードによる事故は増加傾向で、たとえばスウェーデンでは2023年の1年間に、241件もの事故が発生したといいます。
しかもその中の1件は死亡事故だったので、世界的に電動キックボードの運転は禁止にする傾向が見られます。