知っていた?飛行機には冬タイヤがないことを

飛行機のタイヤは冬タイヤがない

雪が降る寒い冬は車の場合は夏タイヤというノーマルタイヤから、スタッドレスタイヤという冬タイヤに履き替える人は多いでしょう。
しかし、飛行機においては、そういった対策をとっていないので、一年中、同じタイヤを使っています。

航空会社にて就航している飛行機のタイヤに関しては、車のオールシーズンタイヤと構造が違っており、特徴として表面の凸凹がありません。
溝が縦に入っているのみで、車と見比べると表面は凹凸がなくなめらかです。
雪が降った滑走路などでも、だいじょうぶでしょうか。

減速する方法がある

ある大手航空会社のパイロットによると、着陸時には速度が落ちるようになっているので、タイヤを換えなくても大丈夫だそうです。
その際は、空気の流れをうまく避けて減速できる「スポイラー」とエンジンが噴射する方向を変えることができる「リバーサー」という名の逆噴射装置によって、速度を落とします。
このように、ブレーキではないところで減速できるので、タイヤに頼らないで済むのです。
さらに、飛行機は重量が車の何十倍もあるので、グリップ力を高めることができます。

その上、飛行機が高速走行する滑走路はまっすぐなので、タイヤに関係なく離着陸できます。
この時に役割を果たすのが縦に刻まれている溝で、この溝があるために高速走行時に横のブレは起こりません。
また、タイヤのみでなく、滑走路自体にも横に溝があるので、ブレを起こさない手助けになっています。

とはいいましても、誘導路で右か左に曲がるときは、横滑りを起こす可能性もあります。
それを避けるために、冬は他の季節とくらべて速度を落として走るようにしているのです。前の項でご紹介したパイロットによると、積雪や凍結した路面を想定した横に曲がる訓練を、研修などで受けているということなので安心できます。

空港の除雪体制が整っている

パイロットの操法やタイヤに変わる装置などに加え、空港の除雪体制も整っているので、タイヤ交換しないで済みます。
特に、豪雪地帯にある空港に関しては、雪対策の設備がしっかりとなされているので安心です。

たとえば、新千歳空港だと、数種類の除雪車が数種類あり、その数は80台以上になります。それが24時間体制で滑走路や誘導路、駐機場などを除雪するのです。
こういった車両は原則、雪の対策としてスタッドレスのタイヤを使用しています。

それに、滑走路は除雪ができていても、路面の摩擦係数が所定の基準を満たさない状態ならば、無理に離着陸はしません。
また、横風が強い場合なども強行した離着陸はしないことになっています。

そして、冬の飛行機にとって危険なのは翼についた氷です。
それによって翼の形が変化して、離陸ができなくなりことがあります。
こう言った事態を招かないように、フライト直前の飛行機には防徐雪氷液が散布され、翼についた雪を取り除くのです。
この作業が離陸直前に行われるのは、防徐雪氷液の効果を少しでも長くもたせるためでしょう。